胸の曲線に完璧にフィットする、ブラジャーをデザインするためにArtec Eva Liteで3Dスキャンを行う
背中周りがキツすぎたり、前方がしっかりと固定されなくて、イライラした経験はおありですか?もしくは、ストラップが肩から滑り落ちてしまったり、ワイヤーが食い込んでしまい、心地悪くなった経験はどうですか?女性ならば、このような不快な経験のひとつやふたつは、きっとお馴染みでしょう。現代の多くの女性達と同じように、1日に何度も体にあまりフィットしないブラの位置を直したり、ストラップを調整したりするのに慣れていた、デザイナーの リデワイジ・ベラ・アリ・ヴァン・ツウィラート(Lidewij Vera Arí van Twillert)さんは、この状況をなんとか改善できるはずと思いました。
3Dボディスキャンは完全なカスタマイズのために行われます。[画像提供:アリ・ヴァン・ツウィラートさん]
もし女性が、それぞれひとりひとりのために特別に設計された、カスタムブラを着用できるとしたらどうでしょうか?それは、体の曲線にピッタリとフィットして、肩を測定してカスタマイズさせたストラップがついていて、それぞれの快適さと好みに合った、お望み通りのデザインとスタイルのブラです。
「私は常にファッションに魅了されており、エンジニアになるための勉強をしながら、テクノロジーとデザインへの情熱を組み合わせることにしたんです」とデザイナーのリデワイジ・ヴァン・ツウィラートさんは言います。「3Dスキャンの技術に影響されて、究極のカスタムフィットのブラを作りました」
このようにカスタマイズされたアイテムには、非常に細かい測定が必要です。そんな状況に救世主として現れたのが Artec Eva Lite でした。Artec 3DのベストセラースキャナであるEvaの低価格バージョンであるこのEva Liteは、Evaと同じ精度仕様を備えていますが、機能がEvaに比べて少なめです。このお手頃価格のスキャナは、ジオメトリが豊富なオブジェクトをスキャンする場合に、高品質でテクスチャのない3Dスキャンを提供できるため、人体のスキャンに最適です。
「(ほとんどの場合)人体には多くのジオメトリがあるため、Eva Liteはうまく機能します。なぜなら、EvaLiteはパズルのピースのようなバラバラの3D写真を1つの美しい3Dボディスキャンに、簡単に組み合わせることができるからです」 と、 Artec のアンバサダーである、4C Creative CAD CAM Consultants社に勤務するエドウィン・ラパード(Edwin Rappard)氏は言います。
「ここでまた、言っておくべき大事なことは、お客様の快適さを重要視して、これらの測定はお客様に物理的に触れずに行うということです」
このデータはArtec Studioで処理されます。
この会社は、ヴァン・ツウィラートさんが在籍していたデルフト工科大学にルーツがあります。「私は、形と機能は1つのセットである、という私のビジョンが実現できるようなプロジェクトを終えて卒業したかったのです」とヴァン・ツウィラートさんは言います。「従来のブラジャーにおいて、良い形と良い機能の両立はありえません。それらは快適なのか、美しいかのどちらかです。」
2015年に快適でサポートもキチンとしてくれる、美しいブラのデザインを発表し卒業した後、デザイナーとなった彼女は、Ari van Twillertという、自分の会社を起業することにしました。
カスタムの「ウォータードリフト」シリーズの作品。[画像提供:アリ・ヴァン・ツウィラートさん]
そのブラを作るプロセス全体は、顧客個人を中心に設計されています。スキャンから完了までは、大体6〜12週間かかります。これには最大3つのフィッティングが含まれています。そのワークフローは基本的に以下の3つの部分で構成されています:スキャンと、デザインの選択と、フィッティングです。
まず、それぞれの顧客をスタジオに招待し、ブラのデザインのオプションについてコーヒーを飲みながら、カジュアルな雰囲気の中で話し合います。その後、Eva Liteを使用してのスキャンが行われます。「ブラの布地と型の種類を決めた後、スキャンプロセスがどんな段階で進むのか、全て説明していただきました」とアリ・ヴァン・ツウィラートさんの顧客であるルース(Roos)さんは言います。
「私は3Dスキャンをされた自分の体を画面で見ることができたんです!」
カスタムブラの重要な要素は、彼女の会社の特許取得済みの「Curariris」です。多くの女性が嫌う不快なワイヤーの代用品と、新しいタイプの カスタムフィット、そして3Dプリントされた胸のサポートは、ブラのために駆使された技術です。3Dスキャンは、これを作成するには不可欠です:「3Dスキャンなしでは、カスタムフィットのCuraririsを作成することはできません。これは、Curaririsが曲線を正確にたどり、体の3D情報を使用するためです」 と、ヴァン・ツウィラートさんは言います。「私はお客様の体の3Dモデルに曲線からCuraririsをプログラムし、そのスキャンから仕立ての型紙を独自のアルゴリズムで導き出します」
Curvearisと仕立ての型紙をカスタマイズした後、布地をカットして、Ultimaker 3Dプリンターを使用してCurvearisのテスト印刷を行います。
Curvearisは、スキャンで取得されたデータに従ってモデル化されます。[画像提供:アリ・ヴァン・ツウィラートさん]
ここからは、フィットするようにブラジャーを縫い付けています。必要に応じて調整が行われ、完全にフィットするようになれば、あとはその3Dファイルはその会社の3D印刷を担当するShapeways社に送信されます。それから実際のブラが作られ、お客様に送られます。
「柔らかくて、私の体にピッタリとフィットするんですよ」 と、カスタマイズされたブラを定期的に着用するルースさんは言います。「従来のブラを着用しているときに大抵感じる、肌に圧力がかかる感じや、肌に擦れる感じがないんです」
彼女のビジネスはすでに繁盛していますが、それはまだ本当に始まったばかりです。ヴァン・ツウィラートさんはすでに新しい計画とデザインに乗り出しています。まず、彼女が作ったのは、同様にカスタマイズされた Contour Bustier です。
「私はそれぞれ個人の美しさを備えたパーソナルフィットの服に関する、新しいコレクションのアイデアをいくつか持っています」とヴァン・ツウィラートさんは言います。
「同じ体は2つとありません。それぞれの体にピッタリとフィットする製品を、見知らぬ人にあちこち触られずに手に入れることができるなんて最高ですね!」とラパード氏は言います。