構造化光3Dスキャニングの仕組みと役割
世界最先端の3Dスキャナの数種が、どんな大きさの、かつどのような複雑さを持つオブジェクトもキャプチャしていく過程を本当の意味で充分に把握するには、まず、構造化光の役割について詳しく知ることが必要です。この簡単に読める記事では上記の点に加え、CMM機器やCGIフォトグラメトリなどの他のテクノロジーよりも、構造化光を利用する方が優れている点についても学んでいただけると考えています。また、構造化光3Dスキャナを扱う際の課題となる面についても、一部ご説明します。
はじめに
構造化3Dスキャナが驚くべき速さと正確さでオブジェクトをキャプチャする過程について詳しくご説明するには、まず、構造化光法を理解していただく必要があります。
構造化光法は、専門的には、スキャンするオブジェクト上に3Dスキャナが照射する、正確に調整された白または青の光のパターンのことです。このパターンは通常、平行線、縞模様、若しくは格子の連続したものとなっています。
構造化光がオブジェクトの表面に当たると、光のパターンは曲面やくぼみ、隆起した領域に達すると変形します。
スキャナの投射機(左)が放射した白色光は、途中にあるグリッドを通過すると、線状、つまり縞模様の光になります。グリッドにあるバーの幅が広くなり、バーの間のスペースが狭くなるほど、グリッドの『出口』での光の線は細くなります。直線状となった光は、花瓶の曲面状の表面に当たると変形します。
この現象が起こる間、スキャナのカメラはその変形した光のパターンが反射する中、パターンのフレームを連続してキャプチャし、スキャニングソフトウェアはそのパターンを分析し、スキャンされたオブジェクトのサーフェスをデジタル3Dですべて正確に再構築するために利用します。
3Dスキャナはオブジェクトの大きさ、及び所要時間によって、一回のスキャンにおいて何十、何百、何千のフレームをキャプチャすることが可能です。
反射光の高解像度を持つ3Dモデルへの変換
スキャニングソフトウェアのパターン認識機能と再構築アルゴリズムは、光の一片の厚さが所々で違っていると、薄い部分はよりカメラの近くにあり、厚い部分はより遠くにあると認識し、その他の形状や構造の見極めは、構造化光パターン内のあらゆる種類の変形によって行われます。
3Dスキャナの中には、オブジェクトのサーフェスをキャプチャするための追加のカメラを搭載しているものもあります。3Dスキャニングやモデルの分野では、テクスチャはオブジェクトの色やその他の視覚的なサーフェスの特徴のことを指します。
フレームのキャプチャが完了すると、フレームは3Dモデルへと変身を遂げます。スキャニングの際にテクスチャフレームがキャプチャされていれば、後に3Dモデルに「マッピング」され、実在する元のオブジェクトにほぼそっくりで、寸法的にも反映された3Dモデルを完成させることに役立ちます。
ハンドヘルド式スキャナの場合、オブジェクトの側面をすべてキャプチャする際には、スキャナを手に持った上でオブジェクトの周りで移動させると、スキャナが構造化光の光線を異なった角度や場所からオブジェクトの表面に照射し、膨大な量の正確なサーフェスのディテールを収集します。なんと、スキャナの中には、毎秒何千万ものサーフェスデータをキャプチャできるものもあるのです。また、ハンドヘルド式スキャナをオブジェクトに対して静止させた状態で、ターンテーブルを使って小規模のオブジェクトを回転させ、すべての側面からスキャンすることも可能です。
例えば、定置型の構造化光スキャナであるデスクトップ型Artec Microでは、小さなスキャニング用プラットフォームの上にスキャン対象のオブジェクトを設置するだけで、スキャナが残りの作業を自動的に行います。中断が必要なのは、オブジェクトの隠れていたサーフェスをすべてキャプチャするために、そのオブジェクトをひっくり返す際のみです。
時計のヒゲ状ぜんまいから、クジラの顎骨まで:オブジェクトの大きさについて
構造化光法が、非破壊的に極めて小さいものから巨大なものまでをキャプチャできることは疑いの余地のない長所であり、ソリューションによっては、白血球の半分の大きさである最大十ミクロンの精度でのキャプチャも可能なのです。
キーポイント
特定の種類の大きさのオブジェクトを常に扱う場合は、そういった業務に特化して設計されたスキャナをお選びください!
それぞれのスキャナは幅広い種類のオブジェクトの驚くほど正確なデジタル複製を作成することができますが、特定の大きさのオブジェクトのみを主に扱う場合は、その業務に最適な、特定のスキャナを入手することを考慮したほうが良いでしょう。
ぜんまいや歯車、テンプや宝石など、時計の極めて小さなパーツを定期的にスキャナする必要がある場合は、Artec Microのような、クリックのみで簡単にパーツを次々とスキャンできる、デスクトップ型構造化光スキャナの購入を真剣に考えてください。生産中止となったCNC圧延加工されたバルブやネジ式ボルト、スイッチなどの非常に小さな航空宇宙用パーツの場合でも同様です。反面、選択したオブジェクトが人体のように大規模である場合には、人間の髪の毛の太さの七分の一といったような精度はおそらく必要ありません。部屋ほどの大きさもある、実在する大規模のオブジェクトも、高品質のハンドヘルド式構造化光3Dスキャナなら、難なくキャプチャすることが可能です。
速さと携帯性
皆様のワークフローが人物や、何らかの種類の動物のデジタルでのキャプチャ工程を含んでいる場合は、オブジェクトが動いてしまう前に素早くスキャンできるソリューションを入手した方が良いでしょう。そうでなければ、スキャンデータに位置ずれが生じてしまう恐れがあり、後処理での修正が大変な作業となります。こういった場合は、ご購入を考慮されているスキャナのFPS(秒間フレーム数)をご確認ください。動くことのないオブジェクトを扱う場合以外は、その値は高いほど、より有効となります。
高速で携帯性に長け、妥協のない精度を提供するよう開発された3Dスキャナの一例が、ワイヤレスでハンドヘルド式スキャナのArtec Leo, です。毎秒フレームレートが最高八十、及び毎秒三千五百万ポイントのデータ取得速度を誇ります。
構造化光3Dスキャニングソリューションの査定においては、お取り扱いのものと同じ種類のオブジェクトのキャプチャにスキャンが使用される様子を直接ご覧いただける、実演の機会に触れることが賢明です。更に良いアイディアは、ご自身でお試しになることです。その際は、オブジェクトの準備及びスキャン、更にスキャンデータの処理作業のしやすさに特にご注目ください。
他のテクノロジーと比べて構造化光法が優れている点
ここ数年、構造化光3Dスキャナが国際的に何千ものユーザーに選ばれているテクノロジーとなっていることには、理由があります。実際、数多くの理由があるのです。ここでは、最も広く評価されている利点、及び、その利点が最も有効に作用している分野をいくつかご紹介します。
非接触性数々の種類のオブジェクトには、接触測定(CMM)やターゲットを用いたフォトグラメトリなどの方法が、その手で触れる程度により採用不可能になる場合があります。例えば、世の中に二つとない考古学上の標本や博物館収蔵の作品、又は個人の所有する価値のある物品を取り扱う場合です。
構造化光法は、そういったオブジェクト全体のミリ単位以下の精度でのキャプチャを可能にし、ほとんどの場合、手で触れることも最小限に抑えられ、全くその必要も生じないこともあります。その例としては、ほぼすべてのオブジェクトをその完全な形で、その周辺の状態と共に保存して記録するため、その発見されたままの状態で、発掘現場でスキャンが行われる法医学と考古学の分野を考えていただければ、十分理解いただけるはずです。構造化光法であれば、手で触れることによる破損の恐れは、軽微の損傷であっても、最低限に抑えることができます。
高速性至急完了させるべきプロジェクトに携わる場合、使用するツールにより作業の速度が落ちることは避けたいものです。従来のフォトグラメトリやCMM機器、手作業での計測ツールによれば丸一日掛かる業務が、構造化光3Dスキャナを使用することにより、一時間から二時間で完了することもよくあるのです。
また、先に少しご説明しましたが、高速のソリューションの使用が大きな違いをもたらすもう一つの理由は、オブジェクトの中には人間のように、一、二秒もじっとしていられない性質のものもある点です。もし、動いてしまうと、前述のスキャナずれ以外にも、スキャナ対象物のキャプチャされた形状も同様に変形し、データも失望させるような結果となってしまいます。
傑出した精度測径器や定規、更にはCMM機器のような昔ながらの計測手段とは違い、構造化光法は3Dスキャニングワークフローを強化するため、単にサーフェスの個別の箇所や線状の領域だけではなく、オブジェクトや場面全体をキャプチャすることのできる手段ともなるのです。
現実の世界では、我々の取り扱う製品やパーツ、その他のオブジェクトは、通常、計測のために一般に選択される点の間に存在する、数多くのサーフェスや何百万ものデータポイントにより構成されています。この事実に対し、構造化光法を採用した3Dスキャニングによれば、すべてのものをミリ単位以下の精度でキャプチャでき、オブジェクトや場面のすべてを網羅した、高精度のデジタル化記録を作成することができるのです。
人体にも全く安全構造化光法は何年にもわたり、医療産業の複数の分野において、幅広く利用されています。病院や学校、企業など、如何なる場所でも、小さな子供から体力の衰えた高齢者まで、どのような方に対しての使用も検査済みの上、医学的に立証されています。
放射線を使って、オブジェクトのサーフェスや内部のジオメトリをキャプチャするCTスキャンとは違い、構造化光法はその実証された実績により、無害の効果的なスキャニングテクノロジーとして、間違いのない選択肢となります。
構造化光3Dスキャニング及び二種類のフォトグラメトリ
CGIや芸術作品用のフォトグラメトリには専用の3Dスキャンは必要なく、そのまま、見事なテクスチャを持つ3Dモデルの作成に使用できますが、その反面、最も顕著である精度面を含めて、欠点がないわけではありません。
次節で詳細にご説明するように、正確さが要求され、計測業水準の測定性能を持つ機器が必要となるプロジェクトで使用されている、もう一つの種類のフォトグラメトリが存在します。この節の残りの部分では、これまでにご紹介したように、CGI製作者チームや3Dモデル製作者の間でよく使用されている、従来のフォトグラメトリに焦点を絞ります。
CGIフォトグラメトリの過程は進行が遅く、時間が掛かるため、以前ご説明したように、スキャニング時にオブジェクトが少しでも動くと、完成モデルの精度や位置合わせに深刻な影響があるため、人体のキャプチャには全く使用されていません。
時間に制約のあるプロジェクトでの使用も、問題外です。信頼性のある、正確な成果を数分で上げることが、サプライチェーンの流通の妨げにならないための重要な要素となるような種類の、ほぼ全ての製造業での品質検査が、この種類のプロジェクトに当てはまります。
その上、この種類のフォトグラメトリは、何千とは言わなくとも、何百という画像をすべて処理することのできるパワフルなコンピューターが必要となる場合もあります。
芸術作品用のフォトグラメトリのもう一つの問題点は、フィードバックが遅れることです。実際のところ、画像を処理するまで、オブジェクトのすべてをキャプチャできたかどうかを確認することができないのです。その上、気付いた際には手遅れの場合もあるのです。
考古学の分野において、発掘現場や遠隔地で出土した遺品や化石が、その場所から動かせないか、若しくは移動させてはならない場合が、的確な例の一つです。
計測上の相乗効果:3Dスキャニングと計測用フォトグラメトリの併用
つい最近、計測業やその他の市場で話題となっているデジタルキャプチャソリューションの一つが、DPAフォトグラメトリ. と呼ばれる、皆さんの3Dスキャニングワークフローで使用可能な、特殊なフォトグラメトリです。CGIフォトグラメトリとは違い、このソリューションは驚くほど正確であり、山ほどある写真を繋ぎ合わせる処理作業にも長時間を必要としません。
3Dスキャニングとの併用時には、DPAフォトグラメトリはオブジェクトや場面の物理的に正確な寸法をキャプチャするため、工程の初期段階にのみ使用され、その結果は非常に正確な(最高十ミクロン)ポイントクラウドの形で3Dスキャニングソフトウェアに転送されます。
その後、既に写真でキャプチャした物品を3Dスキャンするだけで、結果として完成した3Dポリゴン状のメッシュと、フォトグラメトリによるポイントクラウドを組み合わせることにより、完成する3Dモデルは幅広い種類の計測業水準のプロジェクトに最適な、並外れたレベルの正確さと解像度を有したものとなります。
構造化光3Dスキャニングの一般的な用途
製造中止となったパーツや組立部品のリバースエンジニアリング
今日の多くの企業では、古くなった機器の修理や取り換えが必要となる状況が生じるものの、その製造元が機器の生産を終了していたり、製造元自体が既に閉鎖されていたりすることがよくあります。そのような場合、そういったパーツを自身で再製作すれば、多大な作業時間はもちろんのこと、経済的にも大きな節約となります。作業にかかる時間や、パーツの手作業での計測やCADでの綿密な設計図の製作に必要な専門性を考慮すれば、ハンドヘルド式3Dスキャナへの投資は、非常に価値があると考えられます。
考古学上、及び文化的、歴史的遺物の記録
世界中の博物館や研究者の方なら、構造化光3Dスキャナを使用すれば、最も貴重な部類の遺物や化石を破損の危険に晒すことなく、そのサーフェスのディテールをすべてキャプチャすることが可能となります。そういった方には、有史以前の石造りの道具や中世の城壁、古代の人類の先祖の頭蓋骨の寸分も違わない、正確な記録用のデジタルコピーの作成が必要となるかもしれません。その作業の対象となるオブジェクトの種類に関わらず、作業中にオブジェクトを損傷してしまうことを避けるには、手で触れることを最小限に抑えることが不可欠となります。
非常にリアルで、フルカラーのCGIや特殊効果の製作
映画やテレビ、ゲーム用の本物のようなコンピューターグラフィックスを作成するために構造化光3Dスキャナを使用することは、今や業界標準となっています。その上、Artec Leoのような携帯できるハンドヘルド式3Dスキャナを使用することで、セットやスタジオを訪問して、俳優から小道具、シーン全体までをスキャンし、そのスキャンデータを数分の間に処理して、デジタル複製版を完成させることも簡単です。
ぴったり合った衣服を製作するための身体計測
人体を正確に計測することに関しては、これまでは巻き尺のみがその役割を果たしてきました。構造化光3Dスキャニングは、そのアナログの『前任者』よりも遥かに勝る性能を持っています。邪魔になるワイヤーやケーブルの無い、作業の速いハンドヘルド式3Dスキャナなら、人間の体を数分の間に、その周りを自由に動き回りながらすべての角度からキャプチャすることができます。その結果、最も几帳面な仕立て職人さえもうらやましいと思うような、正確な寸法を取得することも可能です。
製造ラインでの光学式計測と検査
製品検査の際に、製造業者の多くが抱く最も重要な懸案事項に入るのが、作業中に製品を傷つけることなく、その物理的な構造上の不一致となる箇所を正確にすべて検知して数値化できるかどうか、という点です。測径器、マイクロメーターやCMM機器のような物理学的測定ソリューションとは違い、3Dスキャナを使用すれば、どんなサーフェスであっても、切りつけたり、引っ掻いたり、変形させたりする恐れは全くありません。
その上で、3Dスキャニングソフトウェアを使用すれば、信頼できるミリ単位以下の精度で、製品に存在するどんな製造上の不一致も視覚的に確認することができます
構造化光スキャナの潜在的な弱点
新しいテクノロジー機器の購入を決定する前には、その相対的な長所と共に、短所となる点についても把握することが大切です。この点に関して言えば、構造化光法は短所よりも遥かに多くの長所を持っています。しかしながら、ここでは敢えて、構造化光3Dスキャナがその限界を露呈し得る状況について、その数例を見ていきます。
スキャニング中のオブジェクトの過剰な動き
ハンドヘルド式構造化光3Dスキャナを用いてオブジェクトのキャプチャを行う際、スキャンの対象となるオブジェクトは静止しているか、若しくはターンテーブル上で回転している状態のように、制御された形で動いていることが望まれます。
それが期待できないような不都合な状況は、すべての3Dスキャナが多かれ少なかれ直面する事態ですが、実際、データの品質はスキャナのFPSキャプチャ率によるところが非常に大きいのです。例えば、オブジェクト、若しくはスキャナが過度に動くとスキャナはトラッキングが不可能となりますが、非常に高いFPSを持つ構造化光スキャナならば、問題とはならないのです。
3Dスキャナ及びフォトグラメトリにとってキャプチャの困難なサーフェス
どんなスキャナでも、CGIフォトグラメトリにおいてもキャプチャが困難となりがちなサーフェスが何種類か存在します。ただ、そういったサーフェスは、スキャンが全く不可能な訳ではありません。適切な準備を行い、高品質の3Dスキャナを使用すれば、無事にスキャンできる確率も向上します。
非常に暗いサーフェス:この種類のサーフェスは、通常ではそれほどお目にかかるものではありませんが、存在することは確かであり、構造化光の光線を簡単に吸収するため、光のパターンがスキャナのカメラの位置まで反射しなくなってしまいます。もし、付属のソフトウェアにユーザーの調整できる感度設定があるスキャナをお持ちであれば、スキャンデータのプレビューにおいて、サーフェスがスキャナにはっきりと認識されるまで感度を上げてみましょう。
クロムやその他の光沢のある金属などの高反射性のサーフェス:構造化光の光線がこの種類のサーフェスに当たると、光線は予測不可能な方向へ跳ね返ってしまうため、スキャナのカメラが技術的に変形した光のパターンの正確な画像を適切にキャプチャすることができなくなります。この場合は、異なる様々な角度やあらゆる距離からオブジェクトのスキャニングを行ってみてください。時には、オブジェクトに対して直角となる場所からスキャンしないよう、スキャナの位置を変えたり、角度を調整したりすることで問題が解決することもあります。この解決法によれば、構造化光の光線はカメラへ直接反射されるのではなく、よりゆっくりと分散されるようになります。
ガラス状、透明、若しくは半透明なサーフェス:スキャナの構造化光の光線が素材を通過したり、若しくは照射された際に拡散されたりする場合、その光線はカメラへは反射されないため、真のサーフェスジオメトリの記録が不可能となります。このようなサーフェスが構造化光の光線を吸収したり拡散したりすることを防ぎ、光線を正しく反射させるようにするための解決方法は豊富にあります。DIY的な方法としては、スキャン対象のオブジェクト上にコーンスターチやベビーパウダーを振りかけることも可能です。同様に、どんなサーフェスからも数分から数時間の間に蒸発するような、高品質の艶消しスプレーも数種類販売されています。
毛髪や毛皮で覆われたサーフェス:構造化光の光線がこの種類のサーフェスに照射された際には、光は複数の方向へ反射されるため、スキャナのカメラは光のパターンを充分にキャプチャすることができなくなり、オブジェクトの実際のサーフェスジオメトリを判別することが不可能になります。もし、暗いサーフェスと同様に、お持ちのスキャナ付属のソフトウェアに感度調節機能があれば、スキャナが毛髪の細かいジオメトリを検出できるよう、感度を非常に高い状態に設定してください。頭部のスキャンの場合は、『耳から耳へ』、片方の耳から頭のてっぺんへ向けてスキャナを動かし、もう片方の耳へ下がっていくようにスキャンするよう心掛けてください。また、首や肩をできるだけスキャナの視野内に常に納まるようにすれば、スキャニングソフトウェアがそういった箇所を参照として使用できるようになります。
非常に薄いオブジェクト(またはその一部): これは、対象となるオブジェクトのサーフェス領域が小さすぎて、構造化光の光線を照射した際、スキャナのカメラに充分な量の光を反射させることができない場合です。例えば、スキャナがオブジェクトの薄い一端をキャプチャする際、サーフェス領域が数ミリの厚さしかない場合です。多くの場合、この難点は、スキャナの視界にカラフルな背景、若しくはパターンの入った背景を設置することで解決可能です。スキャンの対象となる薄いオブジェクトやサーフェス領域のすぐ後ろに、テキスト、幾何形状や模様の描かれた紙を設置するだけで充分です。
埋め込まれたサーフェスや深い刻み目:ハンドヘルド式スキャナなら、このような領域も比較的キャプチャしやすくはなるものの、スキャナの性能に関わらず、構造化光の光線がキャプチャしているオブジェクトや場面の一部に届かず、スキャナのカメラに反射させることができない場合は、スキャナが情報を認識できないことから、キャプチャは不可能となります。この場合、スキャナによっては、他の機器よりも上手くいくものもありますし、同様に、光の届きにくい種類のサーフェスに対する最も効果的なソリューションとして、視覚的にスキャンデータの幅広い種類の部分的特徴を認識し、高解像度のカラーの3Dでサーフェスの再構築をデジタルで行うことのできる、AI駆動型のスキャニングソフトウェアを使用することも一つの方法です。
結論
以上の概説からも明らかなように、構造化光3Dスキャナは、様々なサイズや複雑さを持つオブジェクトや場面のキャプチャに利用可能な、従来のどんな機器よりも高速で使用しやすく、正確で効果的な手法を提供可能な機器です。3Dスキャニングソリューションは、未だに増えつつある数の世界中の学校や大学で活用されており、学問の分野だけでなく、製造業、法医学、医療、研究など、あらゆる種類の産業分野でも、その未来は光線のように『明るい』ようです。