最高のフォトグラメトリ用ソフトウェア
かつて多くの人々がフォトグラメトリを敬遠していた主な理由に、その価格と利用可能な技術を挙げていましたが、近年それらは大幅に緩和されました。このことによりフォトグラメトリはより広く採用されるようになり、以前より優れていて、機能的で、ユーザーフレンドリーなソフトウェアの開発が促進されました。今回こちらでは、現在利用可能なソフトウェアを見ていきます。フォトグラメトリのニーズに対応するソリューションをお探しの方のために、こちらの記事では互換性や価格、長所と短所、そしてフォトグラメトリの概要を理解するのに役立ついくつかの重要な詳細について説明します。
フォトグラメトリとは
公差のベンチマークが1/500ミリメートルに設定されているような場合には、メトロロジーグレードのフォトグラメトリ機器を使用することをお勧めします。
正確に言うと、この用語は写真から信頼できる測定値を取得するプロセスに厳密に使用されます。フォトグラメトリ(Photogrammetry)のPhotoは光を意味し、grammaは書き込み、そしてmetronは測定を意味します。つまり、光を使った測定です。その使用はより科学的であり、より産業的でもあります。それは検査や変形解析、およびその他の高精度測定のユースケースなどのアプリケーションで使用されています。
たとえば、視覚芸術や遺産保護の多くのアプリケーションにとって、その定義は単純です。つまり、それは写真を3Dモデルに変換することです。歴史家はそれを利用し、考古学標本をフルカラーでデジタル化します。CGIアーティストは、アニメーションやゲーム開発用のアセットをすばやく構築するためにそれを使用します。さらに、趣味で使用する人々の中には、自宅の訪問者にモデルを3Dプリントするのを見せびらかすためだけに使用する人もいます。
私達はこれを2D画像から3Dデータを再構成する手法と呼びます。この定義は、計測用のフォトグラメトリと、CGI用のフォトグラメトリと呼ばれるものの両方について言及する必要があります。
50個のLEDライトと14台のカメラで構成される特注のフォトグラメトリ装置の前に座るバラク・オバマ氏。ほんの数秒で大統領の顔をさまざまな角度から複数回撮影して高品質のテクスチャデータを取得し、後にそれを2台のArtec Evaスキャナから得た3Dスキャンと組み合わせることで、史上初の米国大統領のフルカラーの3Dポートレートを作成することができました。写真提供:ホワイトハウス
フォトグラメトリを使用する理由
フォトグラメトリをプロが使用するだけのものにしてしまっていた技術的およびコスト上の制約は、着実に解消されています。今日、4K画質の写真を撮影できるスマートフォンは特に珍しくありません。低コストの3Dプリンターは、100ドル程度のものもありますが、そのおかげでマニアックな世代が多くの予算をかけずに自宅でフォトグラメトリを使用して最初から最後まで独自の3Dモデルを作成することが可能になりました。
計測の分野では、ユーザーはフォトグラメトリに頼るようになりました。フォトグラメトリは驚異的に正確であり、レーザー トラッカーよりもはるかに安価でありながら、それとほぼ同等の結果が得られるからです。
写真を比較的簡単に3Dモデルに変換できるソフトウェアは、有料・無料の両方であります。ではまず、無料のオプションから見ていきましょう。
最高の無料フォトグラメトリ用ソフトウェア
3DF Zephyr
- 使いやすさ
- 豊富なサポートとトレーニング資料
- CADでの描画、ポリライン抽出、そして断面、パス、等高線の生成のサポート
- LiDAR、TI、カメラ、ビデオ、その他のデバイスからのデータを使用
- Windowsのみで利用可能
- 無料版は非常に制限されています
ply、obj、fbx、pdf 3D、u3d、dae、pts、ptx、xyz、txt、las、e57
Windows 11/10/8.1/8 x64
3DF Zephyrには3つのバージョンがあります。一番トップにはフルバージョンがあり、こちらには月額サブスクリプションとして支払うか、永久ライセンスを1回支払うオプションがあります。中間のバージョンとして3DF Zephyr Liteと3DF Zephyr Freeもあります。こちらの無料版では3Dモデルを作成できますが、使用できる写真の数は50枚に制限されます。NVIDIA GPUを1つだけ使用して処理を強化することもできます。また、エクスポートのオプションは、JPEGテクスチャを使用したメッシュとYouTubeへのアップロードのみに制限されています。3DF Zephyr Freeには、編集ツールも制限はありますが提供されています。これらの制限は厄介だとお思いかもしれませんが、このソフトウェアをただ試して感触をつかみたいだけなら、恰好のスタートです。後々、これらの制限がない、より高いバージョンにアップグレードすることも可能ですし、点群やテクスチャ付きメッシュ、位置と距離、およびレーザー スキャナのファイル形式のサポートやオルソ画像の生成機能、測量、GIS、および CAD用ツールなどの機能を使用して、より優れたエクスポートオプションを利用できます。
ダウンロードリンク:https://www.3dflow.net/3df-zephyr-free
Meshroom
- オープンソース
- 完全に無料
- 使いやすさ
- アクティブなオープンソース コミュニティによるサポート
- 有料ソリューションと比較して機能が制限されている
- macOSのバージョンがない
abc、obj
- Windows
- Linux
こちらは、3D再構成とカメラ追跡を備えたコンピューター ビジョンアルゴリズムのフレームワークであるAliceVisionに基づいて構築された、オープンソースのソリューションです。こちらには使いやすいドラッグ・アンド・ドロップエディターが搭載されており、ワークフロー (またはパイプライン) を微調整したり、初期設定のワンクリックでのワークフローで作業したりすることができます。この柔軟性のおかげで、Meshroom は初心者にやさしく、上級ユーザーにとっても有益なものとなっています。
Meshroom は 1,000枚以上の画像をサポートでき、HoudiniやBlender、Maya、ZBrushなどの他の3Dモデリング用ソフトウェアと互換性があります。たとえば、他の3Dモデリングのアプリケーションでメッシュを編集した後、メッシュにテクスチャを追加するために使用できます。ユーザーは3D再構成やターゲット識別などのための追加アルゴリズムを備えたライブラリも利用できます。
VisualSFM
- 3D生成のワークフローが非常にシンプル
- 完全に無料で機能制限なし
- 取り扱い説明が豊富
- UIが洗練されていない
- 制御を強化するにはコマンド ラインに関するある程度の知識が必要
- メッシュの作成や点群のクリーンアップには追加のソフトウェアが必要
ply
- Windows
- macOS
- Linux
このソリューションのタイトルの 「SFM」は、「Structure from Motion(動きからの構造)」 の頭文字をとったものです。それはオブジェクトの周りを移動することで、ジオメトリ情報を推測する手法です。観測者が位置を変えると、近くにあるオブジェクトは遠くにあるものよりも大きく移動するように見えます。これらの相対的な差から計算を行うと、観察されているものの3D構造を特定することができ、人間もまた、その技術を使っています。VisualSFM は、これらの計算にGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を提供します。これは、ユーザーが2D画像から3Dモデルを生成できるようにするために、GoogleのソフトウェアエンジニアであるChangchang Wu氏によって構築された、洗練されたソリューションです。
プロセス自体は4つのステップで完了します。この作業は、ご希望であればGUIの代わりにコマンド ラインから実行することもできます。ユーザーは画像をVisualSFMにインポートし、特徴検出と画像マッチングを実行します。次にスパースモデリングが続き、最後に密部分の再構築が続きます。VisualSFM は、個人、非営利、または教育目的での使用は無料です。
ダウンロードリンク:http://ccwu.me/vsfm/index.html
最高の有料フォトグラメトリ用ソフトウェア
RealityCapture
- 設計が優秀なインターフェース
- フル機能搭載
- 包括的なチュートリアルとサポート
- Windowsでのみ使用可能
jpg、png、XYZ、XYZRGB、tiff、bmp、dib、rle、jpeg、jpe、jfif、exif、exr、tif、wdp、jxr、dds、KML、KMZ、obj、ply、partlist、fbx、dxf、dae、 bvh、htr、trc、asf、amc、c3d、aoa、mcd、wmv、mp4
Windows
- 入力ごとによる支払うライセンス: 3,500 クレジットで US$10。8,000クレジットで US$20
- 無制限のライセンス: US$3,750
RealityCaptureは、仮想現実のシーンやテクスチャを含む3Dメッシュ、正射図法、地理参照マップなどを作成するための機能を提供する、フル機能のフォトグラメトリ用ソリューションです。豊富な機能一式と、適切に設計されたインターフェイスを備えているため、このソフトウェアはシンプルなタスクを自動的に処理したり、より複雑なプロジェクトを手動で制御したりできます。
このソフトウェアのツールには、画像をレーザースキャンとマージするもの、水密な三角形メッシュを作成するもの、カラーリング やテクスチャ用のもの、正射図法とマッピング機能に使用するもの、そして距離や面積、体積などの測定用のものがあります。
ダウンロードリンク:https://www.capturingreality.com/realitycapture
Agisoft Metashape
- クラウドおよびネットワークの処理機能
- 包括的なナレッジベース
- 豊富な機能の数々
- Professional EditionはUS$3,499 と比較的高め
- Standard Editionはお手頃価格の(US$179) ですが、機能がかなり制限されており、ProfessionalとStandardの中間版はありません。
- テクスチャのフォーマット: JPG、TIFF、PNG、BMP、OpenEXR、JPEG 2000
- カメラのキャリブレーションのフォーマット: xml、ini、cal、dat
- メッシュと点群: obj、ply、pts、las、laz、e57、u3d、dxf、oc3、cl3、3ds、dae、abc、stl、fbx、wrl、glb、x3d、osgb、kmz
- Windows
- macOS
- Debian/Ubuntu
- Professional Edition: US$3,499
- Standard Edition: US$179
Agisoft Metashape は、航空写真や近距離写真、衛星写真など、さまざまな種類の画像をサポートする機能豊富なフォトグラメトリ用アプリケーションです。こちらには最上クラスのProfessional EditionとStandard Editionの2つのバージョンがあります。Professional Edition は、高密度の点群編集を提供し、数値表層モデル (DSM)および数値地形モデル(DTM)の生成、オルソモザイクの生成、レーザースキャンのサポート、距離・面積・体積の測定などのツールを備えています。また、検査用のクラウド処理や、Webブラウザでの処理結果の注釈付けと測定、および分散チームでのコラボレーションも提供します。さらに、Pythonスクリプトと Javaのバインディングを使用して、カスタムの自動化と処理、およびその他のワークフローに特化したカスタマイズを行うことができます。
Standard Editionはより制限されており、フォトグラメトリの三角測量や、密な点群の生成と編集、3Dモデルの生成とテクスチャリングなど、かなり広範囲の機能を提供しますが、ネットワークやクラウドの処理、Pythonモジュール、Javaライブラリなどをはじめとする、多くの測定および分析ツールを欠いています。
ダウンロードリンク:https://www.agisoft.com/downloads/installer/
Artec Studio
- 使いやすさ
- スキャン・トゥ・CAD機能
- 最大2ミクロンの精度
- 簡単で高速なメッシュ・トゥ・CADの位置合わせ
- CGIサポートおよびメトロロジーグレードのフォトグラメトリ機能
- 定期的なアップデート
- 充分な取り扱い説明とサポート資料
- Artec 3Dスキャナのみに対応
- Appleコンピュータで動作するにはBoot Campが必要
- メッシュ:OBJ、PLY、WRL、STL、AOP、ASC、Disney PTEX、E57、XYZRGB
- 点群 (Artec Rayのみ): PTX、BTX、XYZ
- 参照ターゲット: OBS
- 測定:CSV、DXF、XML
- CAD: STEP、IGES、X_T
- Windows
- Boot Campを介したmacOS
- 30日間の無料トライアル
- 年間サブスクリプション:
- 無料アップデート付きの永久ライセンス:
Artec Studioは主に3Dスキャン関連のワークフロー用の環境とフレームワークを提供するよう設計されています。このソフトウェアは、フォトグラメトリにも強力な機能を提供します。
測定関連の使用例につきましては、Artec Studioには Artec計測キットのプラグインがあります。これは市場で最も正確なフォトグラメトリ用ソリューションの1つであり、レーザートラッカーの優れた代替手段であるArtec測定キットと連携することを目的としています。画像をインポートして、計測関連のアプリケーションで使用する点群を生成したり、大型オブジェクトや情景を 3Dスキャンするための参照データとして使用することができます。
Artec Studioにはフォトテクスチャ機能もあります。これにより、ユーザーはカメラからの画像を高解像度で幾何学的に正確なスキャンデータに統合させ、フルカラーの写真のようにリアルな 3D モデルを作成できます。このソフトウェアは、最大5億ポリゴンのデータセットを処理できるため、大型オブジェクトを高解像度で扱うことも難しくありません。
結論
フォトグラメトリ用ソリューションを探すと、オプションは数多く存在し、しかもどんどん増え続けています。今回ここにリストされたソリューションは、みなさんにピッタリなものを探し始めるには最適です。機能面について言及しますと、ここでご説明したオプションは、現在市場に出回っている競合製品が大体提供するものをリーズナブルにカバーできたと言えます。もちろん最終的に決定する選択肢は、ニーズやユーザーの専門知識のレベル、利用可能なリソース、また個人的な好みに依ります。