3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

日本の美術館に恐竜モデルを設置するため、最古版として知られるティラノサウルス・レックスとArtec 3Dが再び向き合います

課題:以前一度スキャンが行われて作成された、6,600万年前のTレックスの骨のモデルには欠落していたり、置き換えられていたり、また低品質であった部分があったので、今回はそれをより高品質で、より詳細を含ませて新しい3D再構成モデルとして再現し、長崎市恐竜博物館に展示できるようにすること。

ソリューション:ソフトウェアはArtec Space Spider、Artec Studio、Autodesk Maya、ZBrush、Geomagic Wrap、Simplify3D、Cura。 3DプリンターはUltimaker、Builder Extreme 1500

結果:高解像度の3Dで再びスキャンしたことで、即3Dプリントをして、骨組みの組み立てが完全にできるほどの骨のモデルが出来上がりました。

課題:以前一度スキャンが行われて作成された、6,600万年前のTレックスの骨のモデルには欠落していたり、置き換えられていたり、また低品質であった部分があったので、今回はそれをより高品質で、より詳細を含ませて新しい3D再構成モデルとして再現し、長崎市恐竜博物館に展示できるようにすること。

ソリューション:ソフトウェアはArtec Space Spider、Artec Studio、Autodesk Maya、ZBrush、Geomagic Wrap、Simplify3D、Cura。 3DプリンターはUltimaker、Builder Extreme 1500

結果:高解像度の3Dで再びスキャンしたことで、即3Dプリントをして、骨組みの組み立てが完全にできるほどの骨のモデルが出来上がりました。

2014年〜 2016年にトリックス(このTレックスの愛称)の始めての再構成モデル化が成功した後 、ナチュラリスのチームは自分たち独自の3Dスキャナが必要だと判断しました。

どのスキャナにするか検討していた際に、このチームは自分達でまず調査をしたり、オランダのサプライヤーに話を聞いたりしましたが、その結果、精度とパフォーマンス、そして使いやすさの点でArtec Space Spiderが様々なタスクに最適でベストであるという結論に至りました。そして前回と同様に、このスキャナはArtecの長年のパートナーであり、アンバサダーでもある4C Creative CAD CAM Consultants(以下4C)より提供されました。

「私達にとって、恐竜をSpace Spiderで再現できたことが最も重要なポイントでした。ナチュラリスの恐竜部門でのプロジェクトマネージャーである、ハネケ・ジェイコブズ(Hanneke Jacobs)氏は、次のように述べています。

「これまで地球上に生息していたことのある捕食動物の中で最もサイズの大きいこの恐竜には、究極のスキャン技術が必要でしたが、Artecは再びそれを提供することができました」 4Cのディレクターであるエドウィン・ラパード(Edwin Rappard)氏は言います。「ナチュラリスが数年前にArtec Evaを用いて始めた仕事を今回はArtec Space Spiderを用いて完了させたことは素晴らしいと思います。Artecは、2016年にEvaから得たデータを現在のSpace Spiderのデータと組み合わせることさえ可能にしました。これこそが、先程私が言及したような、究極のソリューションです」

軽量でありながらパワフルなArtec Space Spiderは、骨やさまざまな種類の化石等の、複雑な幾何学的要素を含む小型のパーツを高解像度で、しかも安定した精度でキャプチャしたい場合には理想的な選択肢です。しかも、このプロジェクトには良いタイミングで取り掛かることができました。その時期は、ナチュラリスが長崎市恐竜博物館と、3Dトリックスと名付けられた最初のトリックスのコピーを作成する契約を結んで間もない頃だったからです。この契約は、有名なこのTレックスとArtecスキャナがもう一度向き合うことを意味していました。

3Dトリックス:3Dスキャンから、組み立てられた骨格になるまで

Space SpiderとArtec Studioソフトウェアに関する簡単なトレーニングセッションを終えると、3Dモデラー兼ナチュラリスの解剖学者であるパシャ・ヴァン・ビジラート(Pasha van Bijlert)氏は、今回で2回目となるTレックスの骨格のデジタル再構成を担当しました。

Space SpiderとArtec Studioソフトウェアに関する簡単なトレーニングセッションの後、3Dモデラーのパシャ・ヴァン・ビジラート氏は仕事に取り掛かりました(出典:ハネケ・ジェイコブズ氏)

このトリックスの骨格は約320本の骨で構成されています。古い肋骨や尾、椎骨を含むこれらのほとんどは以前すでにArtec Evaでスキャンされていました。よって、パシャ氏が骨格全体を再度スキャンする必要はありませんでした。今回必要だったのは、以前のスキャンで十分な詳細が含まれていなかった骨の部分の再スキャンをより高品質で行うことでした。たとえば足の骨や顎、頭蓋骨などの部分です。これにより、3Dモデラーのパシャ氏は多くの時間を節約することができ、モデルに欠落していた部分をモデル化させたり、それを最終的な3D骨格にマウントする作業に集中することができました。

パシャ氏が最初に行ったのは、Autodesk Mayaを使用して、スキャンがされてすでに利用可能な全ての3Dモデルの位置づけをすることでした。まるで目の前にいる獲物に今にも食いつきそうなTレックスをより現実的に、威圧的に見せるポーズをさせようとしたのです。その後、彼は復元する必要がある特定の骨のみを再度スキャンし始めました。

ナチュラリス生物多様性センターの実際のTレックスの骨格の隣にある3Dトリックスの上部頭蓋骨が3Dプリントされた部品(出典:ハネケ・ジェイコブズ氏)

全体として、パシャ氏が欠落していたすべてのスキャンを補うのにたった数日しかかかりませんでしたが、それらを処理して1つの完全な3Dモデルに結合させるのにはさらに数週間かかりました。

後処理のワークフローは各骨によって異なるものになりました。「四方からスキャンができる骨なら、後処理のワークフローは単純にそのスキャンの位置合わせをして、地面や周囲にあった余計なオブジェクトを取り除いて、Artec Studioでメッシュ化を実行するというプロセスでした」とパシャ氏は言い、このタスクにはテクスチャは必要なかったことも言及しました。彼はArtec Studioでのワークフローについて、次のように説明しました。「個々のスキャンとは別に、「完成した」モデルをさまざまな位置に位置合わせすることが可能なので、この位置合わせツールは特に僕のお気に入りです」

以前のEvaスキャンでは十分な品質ではなかった部分(例えば骨が完全に復元される前にスキャンが行われた場合や、骨組みにすでに取り付けられてからスキャンが行われた場合に発生した部分)には、Artec StudioやGeomagic Wrap、およびZbrushを併用して、不足しているデータを修正するために広範囲に及ぶ後処理が必要になりました。

「可能な場合は、平らな領域を埋めるために、さまざまな骨の切片をミラーリングさせたり、移植させたりしました」と彼は言います。「場合によっては、トリックスや他のTレックスの標本の写真を参考にして、欠落している領域を手作業で描く必要がありました」

トリックスの尻尾の固定化と新しいポーズ

新しい3Dトリックスが可能な限り本物そっくりに見せるために、トリックスが他の標本から継承した、状態の悪い鋳造されてできた骨を交換したりして、手順がいくらか実行されました。その中には、現在オークションにかけられているTレックスの全身骨格化石標本(スタン)の尾骨が含まれています。長崎市恐竜博物館からの要請で、パシャ氏は攻撃的なポーズをとっている3Dトリックスも作成する必要がありました。

ナチュラリスにあるTレックスの新しい再構成モデルである3Dトリックスは、攻撃的なポーズが特徴です(出典:ハネケ・ジェイコブズ氏)

よりリアルに見えるバージョンの作成を目指して、3Dモデラーのパシャ氏は3Dトリックスの両膝の部分を近づけました。化石化した恐竜の足跡を見て、パシャ氏は元のトリックスや他のTレックスの大きく開いた脚は実際と異なることを発見しました。彼はまた、設計上新しいモデルを原物の骨格のように分解する必要はなかったため、脊柱の骨を原物のモデルよりも近づけました。

3Dプリントの準備万端

処理と後処理の作業が終わると、パシャ氏は完全な骨格をRhinoにインポートし、マウントされた骨格を内側からサポートする鉄骨フレームをモデル化しました。

3D トリックスの顎の下部を3Dプリントしている様子(出典:ハネケ・ジェイコブズ氏)

Simplify3DとCuraで3Dプリントするために完成したモデルをスライスしたら、ついにそれを3Dプリントして、すべての骨に色付けをする時が来ました!爪や歯などの小型部品は、リサイクルされたPLA(ポリ乳酸)バイオプラスチックを使用して、複数の小型Ultimakerプリンターでプリントしました。このプラスチックは、特別な条件下で生物学的に分解できる、強力で耐久性のある素材です。大きな骨は、大規模なBuilder Extreme 15003Dプリンター2台を使用してプリントしました。

ナチュラリス生物多様性センターに展示されている、3Dトリックスの完全に組み立てられた状態の骨格(出典:ハネケ・ジェイコブズ氏)

最終段階は、骨に色を付けてから、その3Dモデルを参照しながら以前設計した棒状のフレームに1つずつそれらをねじ込んでいく作業でした。

ほぼ1年の期間に約4500万平方ミリメートル分のアクリル絵の具を使用し、3Dプリントと塗装を繰り返した後、2020年の終わりにやっと3Dトリックスの特別な再構築作業が完了しました。骨の実際のプリントと組み立ては、ナチュラリスの「Live Science」展示会場で行われたため、すべての訪問者は最初から最後までのそのプロセス全体を観覧することができました。この新生Tレックスは、まもなく日本の新しい拠点地へと出荷されます。

ナチュラリスにて3Dトリックスを組み立てている様子

Leoをこのプロジェクトに導入

この新しい3D再構築が完了した直後、ナチュラリスのチームは彼らが日常的に使用する再構築用のツール一式にArtecスキャナをもう1台追加させることを決定しました。恐竜のサイズを考えると、この決定は完全に理にかなっています。そのスキャナとはもちろん、Artec Leoのことです。

「Leoは大型の骨でも非常に簡単にスキャンできるので、時間を大幅に節約してくれるんです」とハンネケ氏は言います。「そのおかげでスキャンがとても簡単になります。しかも、それを使用しているとなんだか非常に近未来的な感じもしますしね!」

これら2台のスキャナを使用することで、彼らのチームは理想的なソリューションを得ることができました。「今は小さい骨にはSpace Spiderを、大きい骨にはLeoを使用しています。この2台は完璧なコンボですよ」

両方のスキャナを所有するハンネケ氏のチームは、そのセンターの他の部門からもスキャンのリクエストを受けるようになりました。「先日、大きなマンモスの腰の骨をスキャンしました。それは今では3Dプリントされて骨格に取り付けられました。彼らは今回ので味をしめたでしょうから、これからより多くの人々が私達のところに来るでしょうね。これらのスキャナは現在、私達の商売道具の一部になりましたよ」

骨が非常に豊富に発見される地域を探索している研究者たちは、少なくとも今後20年間は忙しくなるだろうと言います。実際に、このチームはすでにワイオミングからアンゴラまで、どこにでも行く計画を立てています。

ナチュラリスのチームが次にどんなプロジェクトを手掛けるのか楽しみですね!

夢のようなメンバーが勢ぞろいしたナチュラリスのチーム(左から右へ):マイケル・ヴァン・リーウェン(Mickel van Leeuwen)、パシャ・ヴァン・ビジレート(Pasha van Bijlert)、ドナルド・ヴァンダー・バーグ(Donald vd Burg)、ハンネケ・ジェイコブズ(Hanneke Jacobs)、アシュウィン・ヴァン・グレヴェンホフ(Ashwin van Grevenhof)、ウィルコ・デ・ピネダ(Wilco de Pineda)(出典:ハネケ・ジェイコブズ氏)

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