3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec社認証済の建設材料が垣間見せる持続可能な未来

課題:今までにない砂糖由来のバイオマテリアルが三百年前に設計されたブロック造の設計案に命を吹き込み、現代建築で利用可能な手段となるかどうかの検証。

ソリューション:Artec Leo、Artec Studio、並びにSOLIDWORKS

結果:鋳造スラブの変形がないかどうかの確認にArtec社による3Dスキャニングが利用される、画期的な検査用ワークフロー。百以上のサンプルのデジタル化、及び分析によりシュガークリート(Sugarcrete®)用の調合法を完成させるために必要な見識が得られ、現在では世界中の持続可能な建設業務ですぐに採用できる、一定の特性を持つブロック積みの構造物の作成に利用されている。

なぜ、Artec 3Dなのか:Leoの高速性、内蔵ディスプレイ、そしてワイヤレス接続形態により、デジタル化は初心者の方でも迅速で簡単なものとなる。驚く程の正確さや精度と共に、この使い易さこそが複雑な検査作業への取り組みを可能とする。

セメントは安価で簡単に製造でき、信じられないほど普及している。事実、セメントは水を除き、最も地球で利用されている資源であるが、地球温暖化における大きな影響を与える要因ともなっている。

建造物用コンクリートを製造するには、エネルギーや二酸化炭素発生量の高い工程の一環として、石灰岩、粘土やその他の素材を窯の中で燃やすことにより、まずセメントを生成する必要がある。材料採掘や輸送排気、コンクリートで囲まれた都市が我々の健康に及ぼす害の点から言うと、セメントは現在、この惑星の環境に対する最大の『悪役』に数えられる。

業界の大手企業は二酸化炭素の回収、もしくはグリーンエネルギーにより自身の大規模のカーボン・フットプリントの解消に努め、その他の企業も建設業全般におけるセメントを別の素材に切り替えようとしている。

これまで藁、竹類、そして卵の殻でさえも代替品として考慮されてきた。同様に、廃棄物の削減のために実験的な素材の3D印刷が提案されることも多い。しかし、試験的な成功事例を除き、現代の建設業の核心においてセメントを今の役割から引きずり下ろす素材は登場していない。

砂糖は、我々の『甘美な』環境保護の救世主となるか

この論点の多い問題に対処する最新で、かつ最も画期的な手法の一つがイーストロンドン大学(University of East London, UEL)で開発途上にある。

製糖専門企業であるTate & Lyle Sugars社と共に、UELの研究班はサトウキビの副産物を基にした代替品と取り組んでいる。『なぜ、サトウキビなのか』、と疑問に思われる方も恐らくいらっしゃると思うが、サトウキビは偶然にも、世界で最も収穫量の多い農作物なのである。

毎年、世界中でほぼ二十億トンものサトウキビが収穫され、六億トンもの茎が後に残り、小さく砕かれて『バガス』と呼ばれるパルプ状のカスとなる。その大部分は最近まで廃棄されていたものの、現在は別の用途に使用される量が増えつつある。この素材は一般にバイオ燃料として再利用されているが、前述のUELの研究班は建設業においても利用することができると考えている。

Sugarcrete

シュガークリート(Sugarcrete®)ブロックのプレス加工工程を接写したもの。撮影:Chromaphotography、画像提供はUEL

この可能性の実現のための取り組みの中で、研究班は煉瓦よりも四、五倍軽く、カーボン・フットプリントも十五~二十パーセント少ない素材を開発した。しかし、自身の設計に基づいたシュガークリート(Sugarcrete®)と名付けられた作成品によりブロック造を組むのではなく、グリムショー(Grimshaw)社の建築家と共同で一六九九年当時の設計物を再現したのである。

この年、フランスの建築家であるジョゼフ・アベイユ(Joseph Abeille)はインターロッキング状の厚板を使用し、互いに嵌め込んでいくことでその集合体としてのサーフェス全般の荷重を伝達させる、空積み組立式平天井(dry assembly flat vaults)を公表した。研究班により見直された設計ではポストテンション方式の補強棒(post-tensioned perimeter ties)が使用されており、鉄への依存を最大九十パーセント低減させ、環境に優しい構造物の作成に対して理想的な基盤となる。

しかし、UELの研究者らがシュガークリートブロックを固める作業を開始すると、かなりの収縮量が生じた。 建設業界が高度に規制されている状況の中で、研究班には計測、数量化を行い、この問題に対処する必要性が生じたが、その解決策こそが、高速で高精度のArtec 3D社によるスキャニングを用いて加速化された上で認証が行われた、独自の研究開発プロセスであった。

UELの『素晴らしい(Fab)』研究所でのデジタル化

シュガークリート研究班には幸運なことに、UELは現在では、Artec Eva LiteArtec EvaArtec Space Spider、そしてArtec Leoなどのデジタル化ツールを備えているデジタル加工研究所(Digital Fabrication Lab)の所在地となっている。

Sugarcrete

シュガークリート開発班。撮影:Chromaphotography、画像提供はUEL

二〇〇六年以来、Artec社のゴールド認定パートナーであるPatrick Thorn & Co.社は、UELが数台のフライス盤を所有する状態から生産準備万端となるための拡張を、その過程でトレーニングも提供しながら支援した。 当加工研究所の機器により、学生らは芸術品から監視のための屋外の環境空間に至るまで、あらゆるものを驚くべき出来栄えでデジタル化できることを既に認識している。

今回、開発担当者らは、業界で初めてのワイヤレス機器であるArtec Leoを採用してシュガークリートの試作品の評価を行った。ケーブルが不要な上、ディスプレイが内蔵されていることにより、同機器は驚くほど操作しやすく、初心者でさえも取り扱いを簡単に習得することができる。その非常に高い正確さと精度は、ブロック毎の収縮率の特定や調合法の改善という解決法の発見にも繋がった。

Sugarcrete

建設用ブロック、シュガークリートが互いに組み合わされていく様子。撮影:Chromaphotography、画像提供はUEL

「以前、セメントよりも二酸化炭素排出量の低い建設素材である石灰を使用したことがあるが、水分を含んでおり、収縮傾向にあった」と、UELの持続可能研究施設(Sustainability Research Institute)の共同創設者であるアラン・チャンドラー(Alan Chandler)は話す。「現在では、我々は混合物を『ガラス化』する、水の不要なシリコン製結合剤を使用しており、変形も少なく、圧縮にもより強くなっている」

「これは完成素材のキャプチャに、特に役に立つ。我々はArtec Leoにより、シュガークリート製スラブの特性を強化できることを証明した」

理論から作り上げ、実現へ

Artec Studioも、シュガークリートのプロジェクトの成功の要となった。マニュアルによるデータ処理過程の多くを自動化するオートパイロットなどの機能を利用し、研究班の学生らは迅速に、そして簡単にスキャンデータから高度に詳細な3Dメッシュを作成することができた。Artec StudioのSOLIDWORKSとの緊密な統合により、スキャン・トゥ・CAD工程も簡素化された。

メッシュを直接エクスポートできる機能により、ファイルはワンクリックでSOLIDWORKSへ送信できる。研究班が最終的に百ものブロックのメッシュをCADモデルへ変換する必要が生じた中で、この統合はかなりの時間の節約に繋がることが分かった。 チャンドラーによると、サンプル間の『誤差を明確』にし、一般化を回避し、偶発的に起こる欠陥を除去するためには不可欠であった、ということである。

Sugarcrete

完成したシュガークリートと、その最終設計に基づく3Dモデル。撮影:Chromaphotography、画像提供はUEL

研究班がTate & Lyle Sugars社と協力して製糖業界での適用の機会を見極める中、チャンドラーはArtec 3D社によるスキャニングは今や、 UELの持続可能研究施設(Sustainability Research Institute)の目的を支援していて、その分野は設計の最適化、性能モデリング、並びにライフサイクルアセスメント(LCA)に亘る、と付け加える。

「ブロックの収縮率の計測はもはや理論上の行為ではなく、現実的なものとなった」とチャンドラーは話す。「コンピューターによる荷重経路の予測も可能だが、デジタル化の上で不確定要素を確認する方が余程速い。我々は3Dスキャニングにより、LCAを構造物の性能や設計と結びつけたいと考えている。これは、データの見栄えを良くするためではなく、善い結果に繋げるためである」

「我々は、理論を越えていかなければならない。非常に正確なArtec 3D社のスキャニングにより我々の手法の査定が可能となり、ブロックが実際に機能する様子を確認することができるようになった」

詳細をご希望の方は、シュガークリートプロジェクトの概要全般をこちらでご覧いただきたい。

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