3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Sherrill Furniture社がArtec Leoにより独自のCGIワークフローをパワーアップ

課題:ある企業内の九つのブランドに属する個別製作家具のうち、デジタル変換を行う予定の家具が何千にも上ったため、設計者チームにスキャンデータからCGIへの画像化のパイプラインを確立するために相応しく、かつ、百パーセント持ち運び可能の上、一回のスキャンのみで家具の大きさのオブジェクトをミリ単位以下の精度でキャプチャ可能なスキャナを探す必要性が生じた。

ソリューション:Artec Leo、Artec Studio、 SOLIDWORKS、Zbrush、及び3D Studio Max

結果:チームは導入したArtec Leoにより、簡単に全ての箇所を網羅した何十もの高解像度のスキャンデータを一日の午後の作業のみで収集することができ、社内のCGI担当チームの最終段階の作業のため、そのデータをいつでも転送できる状態となった。現在では、家具をスキャンしてCADソフトウェア上でリバースエンジニアリングを行い、あらゆる外観やスタイルを持った、特定の家具の異なったバリエーションを製品化の準備が整った状態で作成することも可能となった。

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CGIレンダリングされたアパートの部屋に設置された3DスキャンデータによるSherrill Furniture社製の個別発注のソファセット(写真:Sherrill Furniture社)

個別製作が行われる高級家具の分野では、特に張り地や高級家具の外観および雰囲気が、生地や皮革、仕上げ、色彩、金属製品、装飾品の数え切れないぐらいの組み合わせにより劇的に変化する可能性がある場合には、取引先は自身の発注予定の製品を事前に確認したいと考えている。実物を見ることが不可能なら、カタログやオンライン上で良いから見たい、と思っている。

しかし、それを叶えるのは、製品の目録に掲載するための画像を写真撮影により作成する従来の方法では、決して簡単なことではない。

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CGIレンダリングされた部屋の空間での3Dスキャンデータによる個別製作家具の組み合わせ例(写真:Sherrill Furniture社)

そのためには、まず、個別注文の家具それぞれが製作済であることが前提で、その上で撮影のための時間を割いて、家具をあらゆる角度から写真に収める必要がある。これが不可能であれば、家具の発注元に納品時の外観を「想像」してもらうように伝えるしか、他に方法はない。顧客の立場からすれば、そのような能力は開発したくもないだろう。

最良のものだけを

ノースカロライナ州ヒッコリーを拠点とするSherrill Furniture社にとっては、この方法は不十分であった。同社は一九四五年の創業以来、高品質の材料や製作技術の提供だけではなく、あらゆる点で取引先の期待を上回ることにより、顧客満足度を最大にすることを企業目標としている。

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CGIレンダリングされた居間に設置された3DスキャンデータによるSherrill Furniture社製の個別発注された椅子(写真:Sherrill Furniture社)

そのため、世界中の取引先が、それぞれ頭に思い描いている家具の完成した様子を製作完了前でも確認できるよう、それを実現するための方策を練った。企業には何千もの個別製作の家具に加え、九つのブランドの多くの個別発注家具の製作プログラムがあるため、迅速で融通の利くソリューションを採用することも必要であった。

Sherrill Furniture社のマーケティング担当副社長であるダックス・アレン(Dax Allen)と彼のチームは調査を行った上で、週ごと、もしくは一年ごとに発行する製品の目録のためのスキャンデータからのCGI画像化に特化したパイプラインの一部として、個別設計に使用できる多くの3Dモデルの作成を可能とする3Dスキャニングを採用することになった。

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CGIレンダリングされた部屋に設置された3DスキャンデータによるSherrill Furniture社の個別発注の椅子(写真:Sherrill Furniture社)

この決定は、コンテンツ作成のワークフロー上に存在する問題点を解決し、将来的な障害の発生をも防ぐことにより、ワークフローの効率化にもつながる。

このような必要事項を考慮した上で、チームはArtec社アンバサダーであるDigitize Designs社の3Dスキャニング専門業者に連絡して、販売エンジニアのボー・ヘルムリック(Bo Helmrich)と話す機会を得たが、その際、ヘルムリックはチームにArtec Leoを直ちに勧めた。

ミリ単位以下の精度でのカラーの3Dスキャンの可能な、タッチスクリーンとコンピューター搭載で持ち運び自在のハンドヘルド式スキャナであるArtec Leoは、中規模サイズのオブジェクトのキャプチャ、特に、Sherrill Furniture社の設計者チームがスキャンを行う予定の混雑したショールームなどの、操作性が必須である場所でのキャプチャに秀でている。

Leoのデータキャプチャの速さに気付いてからは、作業をより速く行うことにしたが、それでもLeoは問題なく稼働した」

ハンドヘルド式のハイテクソリューション

Artec Leoを購入後、アレンと彼のチームはヘルムリックと密接に連絡を取り、効率的に家具をキャプチャしてArtec Studioソフトウェア上で処理を行うことのできるワークフローの構築について話し合った。

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Sherrill Furniture社のノア・カーニー(Noah Carney)によるArtec Leoを使用した椅子のスキャン(写真:Sherrill Furniture社)

設計エンジニアのタナー・ピットモン(Tanner Pittmon)によると、「ボーは小さな椅子からフルサイズのユニット式家具に至るまで、キャプチャの必要などんな種類のオブジェクトでも最善の形でスキャンできる方法を編み出す手助けをしてくれた。それは、家具を左から右へとスキャンする間に、その上部と下部の一部をもキャプチャする、というやり方であった」らしい。

更に、「Artec Leoであればターゲットやマーカーも全く必要なく、生じた問題点も、初期段階でスキャンをゆっくり行いすぎたために、不必要なぐらい多くのデータを収集してしまったことのみであった。Leoのデータキャプチャの速さに気付いてからは、作業の方もより速く行うことにしたが、それでもLeoは問題なく稼働した」と続ける。

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Artec Leoによる3Dスキャン待機状態のSherrill Furniture社製の木製の椅子(現物)(写真:Sherrill Furniture社)

全体においてキャプチャできていない面やディテールがあっても、「スキャニング中にLeoのタッチスクリーンですぐに確認できる」とピットモンは語り、「そういった場合でもスキャナを一振りすれば充分で、それだけですべてのデータが収集できる」と付け加えた。

Artec Leoがあれば、スキャンのやり直しのためにショールームへ戻る必要もない

自然に形成されたような複雑な形状の家具であっても、欠落した部分も発生させずスキャンデータを収集できるArtec Leoの性能は、ワークフローにおいては非常に重要となる。CGI担当チームがスキャンデータを受け取った際に何らかの欠損部分があると、その仮想的な張り地をモデルに適用することは実質的にできない上、その品質も劣化する。

家具の構成要素をそれぞれ別にスキャンし、CGI担当チームに送付する前にArtec Studio上で一つにまとめる作業を行っているのは、そのためでもある。この作業ではクッションやマクラなども個別にスキャンし、家具の上から下まで、三六〇度全てがキャプチャされていることを確認しなければならない。

マーケティングコーディネイターのノア・カーニーは、「Leoならば、CGI担当チームの作業の際に重要となるディテールが欠けていないかどうかの確認を、スキャンデータの処理を待たずにすることができる」と語る。

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前述の木製の椅子のスキャンデータのArtec Studio上でのスクリーンショット(写真:Sherrill Furniture社)

カーニーは、「ショールームを訪問する際には、その午後のみで二十以上の家具をキャプチャし、その後、オフィスに戻ってスキャンの処理を行う予定だ。Leoが使用できることで、スキャンのやり直しのためにショールームへ再び戻る必要もない」と説明する。

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CGIにレンダリングされ、個別注文のデザインを施した前述の木製の椅子(写真:Sherrill Furniture社)

特別注文の製作品

Artec Studio上にスキャンデータが一旦アップロードされれば、データは処理された上で3Dモデルへと編集されるが、この過程で行われるのは、ほんの二、三分の内に完了する、家具ごとのあらゆるスキャンデータの位置合わせとデータ上に発生している不必要なデータの除去のみである。

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Artec Studio上での椅子のArtec Leoによるスキャンデータの処理作業(写真:Sherrill Furniture社)

3Dモデルはこの後、CGI担当チームへ送信され、チームはデータをZbrushへとインポートする。このソフト上では、3D Studio Maxでの次の処理段階への準備として、チームはそのジオメトリの改善に集中する。3D Studio Maxでは、Zbrushでは行われないような継ぎ目やUV、その他のモデルの変更を行う。

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Artec LeoによるスキャンデータからCGIにレンダリングされたSherrill Furniture社製のDundee Naturalチェア(写真:Sherrill Furniture社)

完成したのは、活き活きと実物そっくりに描写された家具の3Dモデルで、その拡大や縮小、ズームアップしての詳細の確認や、張り地をAcapella RedからZussman Seafoam greenやその中間色に変更するような編集も、マウスをクリックするだけで行うことができる。

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Artec LeoによるスキャンデータからCGIにレンダリングされたSherrill Furniture社製のSauvage Saddleチェア(写真:Sherrill Furniture社)

その上、あらゆる仕上げ、色彩設計や装飾品などは選択すれば即座に視覚化でき、企業内の優れた職人が製作し、数日後に出荷される製品そのものを発注元に事前に紹介することができる。

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Artec LeoによるスキャンデータからCGIにレンダリングされたSherrill Furniture社の特別注文のソファ(写真:Sherrill Furniture社)

ピットモンは「よりリアルさを出すために、Leoの使用時に行っていたちょっとしたテクニックは、例えば、ソファをスキャンする場合なら、その両側をスキャンすることだった。世の中の多くの企業なら、手っ取り早く片方のデータを反転させて済ますだろうが、我々はそのようなことはしなかった」と語る。

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Sherrill Furniture社製の個別発注のソファセットのLeoによるスキャンデータのArtec Studio上でのスクリーンショット(写真:Sherrill Furniture社)

更に、「それは、手製の家具の両側面には、近づいてみると分かる、微妙だが独特の違いがあるからだ。しわやヒダ、生地の表面への光の当たり具合にさえも違いがあるため、このリアルさ無しではモデルは偽物のようにしか見えなくなる」と語る。

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CGIにレンダリングされた先程のソファセットに異なった張り地やスタイルを施したバリエーション(写真:Sherrill Furniture社)

また、ピットモンは家具にリバースエンジニアリングを行うため、SOLIDWORKSと共に、スキャンデータからCADへの変換用途にLeoを利用した。そのようなプロジェクトの一つで扱ったのが、元の設計書類の無いクラシックチェアであった。今では、Sherrill Furniture社の製造チームは必要に応じて、いつでも様々なバリエーションのチェアを一日もかからないうちに再製作できる。

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Artec Leoを使用したリバースエンジニアリング:元のクラシックチェア(左)と完成した個別発注のバリエーション(右)のCGIレンダリング(写真:Sherrill Furniture社)

このプロジェクトを説明しながら、ピットモンは「この二つのチェアをご覧いただくと、右のチェアは実在さえしない。CGI担当チームがLeoによるスキャンデータを使用して、背もたれを高めにした上で作成した3Dモデルだ。幅を広げることで二人掛けのチェアやソファ一体を作り上げることもできる」と語る。

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Artec Studio上での元となるクラシックチェアのArtec Leoによるスキャンデータ(写真:Sherrill Furniture社)

ピットモンは続けて、「今では、このようなチェアの特注のバリエーションを実際に製作する必要も無くなった。そのバリエーションを仮想的に作成し、製作はニーズに応える形で後日行うことができる」と話す。

家具の設計図が見当たらない場合があると、ピットモンはチェアやソファの仮想的なCADモデルをSOLIDWORKSで早急に作成し、家具工場の製品製作チームに直接送付する。

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Sherrill Furniture社のCGI担当チームが作成したチェアの個別発注版の設計図(写真:Sherrill Furniture社)

新しいソリューションを求めて

アレンは従来と現在の方法の違いについて、「初期の頃に、これまでの写真撮影の方法とLeoによる新しい3DのCGIパイプラインの対象比較を行った」と話す。3Dによる手法では、初期段階ではコストがより高く、完了するまでにもより長い時間を費やしたが、3Dモデルに複数の生地や仕上げを適用することができるようになった。

「(3Dスキャニングの使用は)外観ごとのコストでは、従来の写真撮影よりも三十倍効率的だ。事実、写真に比べて視覚的な品質も向上した」と、彼は続ける。「驚くような結果が出た」

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Artec Leoのスキャン元のクラシックチェア(左)と背もたれが高めの個別発注のバリエーション(右)のCGIレンダリングされた3Dモデル(写真:Sherrill Furniture社)

また、アレンはこう付け加える。「我々のチームがソファの製品試験の間に、そのソファの撮影が済んでいないことに気付いた際が、その良い例だ。担当チームは撮影をキャンセルし、ソファが完成する四週間後に再び行う予定を立てた」

「これに対して、CGI担当チームは、Leoによるスキャンデータから作成された3Dモデルを利用して、それをソファのフレームに合わせた上で、百パーセント正確なソファのデジタル版を、開始から完了まで二時間の間に完成させた」

アレンとチームは、パイプラインの質の更なる向上につながるきっかけを探しながら、一ミリの精度も犠牲にしない形でワークフローの改善を続けていく。

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