「20時間からわずか1時間へ」Artecの3DスキャナSpace Spiderがスイスのチョコレート・バニーのパッケージ時間を短縮

Artec Space Spiderがスイスの食品用パッケージメーカーの作業時間とコストを削減。

私達は誕生日や休日、その他の特別なイベントで味わうスイーツが大好きですが、パッケージメーカーは昔ながらの「食べ物はまず目で味わうもの」という格言を大切にしています。そのお陰で、私達はサンタクロースやイースターバニーを形取ったチョコレートの美しいパッケージを、世界中のどこのスーパーマーケットでも1年中見ることができます。パッケージが魅力的であればあるほど、思わず購入してしまう確率が高くなります。そして、売り手も買い手もハッピーになります。

しかし、このような複雑なパッケージをデザインするために途方もない努力が費やされていることを知っている人はほとんどいません。現在、持続可能でカスタムメイドのパッケージがますます求められるようになり、パッケージメーカーがArtec 3Dの効果的な3Dスキャニングソリューションに関心を寄せているのは自然な流れと言えるでしょう。

Bachmann Forming AGもそんな企業の1社でした。創業1966年のBachmann Forming AGは、スイス・ルツェルン近郊にあるホーホドルフに本社を構える家族企業Bachmannの傘下企業です。この企業では、世界中のスーパーマーケットでよく見かける笑顔のイースターバニーやサンタクロースなどのスイーツ向けに、注文に合わせてスマートな最高品質のパッケージングソリューションを提供しています。

製造工程を円滑に進めるため、Bachmann Forming AGはArtecの最先端3Dスキャナをワークフローに取り入れることにし、Artecのスイスのゴールド認定正規販売代理店である3D Model AGからArtec 3Dツール一式を購入しました。また、3D Model AG はBachmann Forming AGの従業員がスムーズに新しいワークフローを取り入れられるよう、フルトレーニングも提供しました。「オブジェクトを形作るのが本当に簡単になりました。当社のサポートにより、お客様であるBachmann Formingの作業工程のシンプル化とスピードアップに貢献することができ、とても嬉しいです」と、3D Model AGのクリスティアーニ・フィンペル氏は言います。

Artec 3Dは面倒な手作業による鋳造工程をカット

10年前までは、マスターフォームかパイロットツールを作る必要がありました。このオリジナルモデルのほとんどが手作業で作らなければなりませんでした。フライス加工で切削したり、塑像用粘土でモデルを作ったりしてから、研磨作業で磨き上げていました。すべての作業が終わるのに、製品にもよりますが、最長で20時間かかっていました。

それでは、うさぎを形取ったチョコレートのパッケージの最新の製造方法では何が変わったのでしょうか？

デジタル化の到来がすべてを変えました。最新技術がこのワークフローを根本的に変えていなかったとしても、革命的な変化をもたらしました。現在、パイロットツールは、CADを使ってコンピューター上で設計し、CNC制御型フライス加工機で製造しています。

一方、Bachmann Forming AGは卓越したスピードと精密性を実現しながら、有機的な形をスキャンできる方法を探していました。食品は、通常、CADデータを使わずに製造されているため、これを実現するソリューションを見つけることは食品用パッケージ業界にとって大きな一歩でした。

そこで、彼らの目に止まったのがArtec 3Dのベストセラーで高解像度3Dスキャナ、Artec Space Spiderでした。

Jörg Nussbaum氏がマスターフォームをスキャンするところ

Artecはターゲットにマークを付ける必要なし

Bachmann Forming AGには、手で形作るにはあまりにも複雑で時間がかかりすぎるようなオブジェクトが依頼されます。スキャニングソリューションを使用してさえ、困難となることがよくあります。Artec以外のスキャナは、トラッキングを維持し、スキャンの位置合わせを可能にするために、粘着性のシールか、オリエンテーションポイントをオブジェクトに貼付する必要があります。当たり前のことですが、食品でこれを行うことはできません。BachmannのデザインエンジニアであるJörg Nussbaum氏は、「特にチョコレートやプラリネのケーキでは、何かを貼付することは本当に困難です」と指摘します。

Bachmann Forming AGがArtecのSpace Spiderに関心を向けたのは全く不思議ではありません。「Artec Space Spiderの使いやすさと、形状とテクスチャを正確にトラッキングする能力には本当に驚きました」と、Nussbaum氏。「色までキャプチャできるため、デザイン工程で写真のようなビジュアリゼーションが簡単にできるようになりました」

実際、Artecデバイスの1つの優れた特徴は、他社製3Dスキャナと異なり、アルゴリズムがオブジェクトの形状と色データを解析できることです。また、形状、テクスチャ、色をキャプチャするために、オブジェクトにターゲットを付ける必要も一切ありません。

最終プロダクトでは熱成形工程を採用しています。つまり、プラスチックフィルムを熱して、柔らかくし、空気が入らないようにし、マスターフォームにフィルムをかけていきます。この時、マスターフォームの穴がフィルムを引っ張るのに役に立ちます。モデルにピッタリと装着させることで、モデルの形となります。その後、フィルムが冷めて、硬化するのを待ち、しっかりと固まったら、フィルムを剥がします。

写真：

熱成形工程でのチョコレートバニー

バニーのスキャンは非常に効率的

チョコレートバニーが持ち込まれると、スキャンが始まります。バニーはあらゆる角度からスキャンされ、最終的にパソコン上で位置合わせを行います。ちなみに、バニーの形状をスキャンする際に、この暗いチョコの色は全く問題となりません。色のない反射面だけを、手でリタッチします。

Artecのスキャナに最適なソフトウェアArtec Studioでデータを処理し、それをGeomagic Design Xでリバースエンジニアします。この作業が完了したら、データをソリッド（STEPデータ）としてエクスポートするか、CADインターフェースから直接NX（Siemens CAD）に落とし込みます。ビジュアリゼーションのため、Artec StudioでVRMLデータが作成され、それをCinema 4D（3Dグラフィックソフトウェア）でレンダリングします。

Bachmann Forming AGがこれらすべての工程を完了させるのにかかった時間は、わずか1時間でした。従来の方法だったら、20倍以上はかかっていたでしょう！

Jörg Nussbaum氏がチョコレートバニーをスキャンするところ

Artec Studioは、通常、自動編集ツールであるパイロットモードでスキャンデータを処理します。ユーザーの作業はオブジェクトの特徴に関する簡単な質問に2、3答えるだけです。その後、ARTEC Studioは不要なデータを削除し、自動的にデータの位置合わせや最も効果的な3Dアルゴリズムを選択します。こうして、極めて精密な3Dレプリカが完成します。

「複雑な形が素早くスクリーンに映し出されていく様子を見るのは楽しいものです。社内で3Dスキャナを使うことができるようになり、大幅に時間を短縮することができます。とても簡単に使える点が極めて気に入っています。完成品には大満足です」と、Nussbaum氏は笑顔を見せてくれました。

よりスピーディ、より安値、より精密

Artec 3Dスキャナを使えば、チョコレートに完璧にフィットするパッケージを社内で作ることができます。「Space Spiderを購入する前は、この種の作業は外注しなければならず、非常に時間も費用もかかっていました」と、Nussbaum氏は振り返ります。「外部のサービスプロバイダーは、チョコレートのちょっとした出っ張りに至るまですべてのディテールとそのままスキャンしていました。今は、データ処理の段階で余分な箇所をそのまま削除することができます」

また、イメージング段階で外注しなければならなかったため、作業工程には余分に2週間ほどかかり、受注がひっきりなしに来るこの会社のビジネスの足かせになっていました。Artecの高性能技術を導入したことにより、Bachmann Forming AGは製造に必要な作業もスケジュールもしっかりとコントロールすることができるようになりました。

Nussbaum氏はこう結びます。「自分たちでスキャンできるので、時間にゆとりのある時にこの作業を行うことができます。パッケージビジネスでは、スピーディかつイノベーティブであることが欠かせません。Artec Space Spiderは、当社が今後手がける無数のプロジェクトで私達を助けてくれることでしょう」

熱成形が完成したチョコレートバニー